器の旅 〜大川内山〜


伊万里駅からバスで10分ほど。
秘窯の里「大川内山」は、1675年から廃藩置県の1871年まで佐賀鍋島藩の御用窯が置かれていたところである。
御用窯では、主に将軍家や大名に献上するための器が焼かれ、「鍋島」と呼ばれた。
鍋島藩は技術が漏れないように関所を設け、厳重に管理をした。



里の入り口には青い染付のタイルが貼られた橋がかかっている。
有田とは山を越えた位置関係にあり、車で20分ほどの距離にある。
こちらの大川内山は、有田とは明確に分けられており、有田が庶民の器と輸出用の器が作られたのに対し、大川内山は完全に献上品としての上物が作られた。




鍋島は、三色を基調とした「色鍋島」、藍色で絵付けされた「鍋島染付」、青磁原石を砕いて釉薬とした青翠色の「鍋島青磁」に分かれる。
将軍家や大名への献上品として作られたため、その絵付の技術は高く、値段も高い。。。


川沿いにある集落には、磁石を細かく砕くための唐臼小屋が設けられていた。





大川内山には、約30の窯元が残っている。廃藩置県によって御用窯が廃止された後、職人たちはそれぞれ独立を許され、それぞれの窯が伝統を守っている。


煙突を持つ窯が集落に軒を連ねており、それぞれの窯がショップになっており、色々な器を見ることができる。鍋島焼と言っても、デザインやセンスも窯によって、異なる。

伝統を引き継ぎ1軒の窯で、器を購入し、どこの窯が見るべきかを聞いてみた。
プロの目線で選んでもらった方が確実だ。

御庭焼窯、虎仙窯、藤右エ門窯、長春窯、大秀窯、畑萬陶苑。

選んでもらった窯の中でも、一番レベルが高いと思ったのが、御庭焼窯。
おそらく御用窯の中の頭領が作った窯のようだ。
基本的には受注生産らしく、店内には数百万円もする絵皿が並んでおり、デザインや色彩のセンスも素晴らしかった。



山に囲まれた集落は、30分ぐらいで1周できる広さで、煙突に瓦屋根の街並みに風情が漂う。



江戸時代の藩の御用窯の跡が残る。300年以上にわたって器が焼かれてきた。
集落のはずれには、高麗人の墓などもあり、秀吉の朝鮮出兵から歴史はずっと連綿と続いてきたのだというのが感じられる。



鍋島藩の窯を模したもので、現在は年に1回のお祭りの時に窯元全員で炊いているそうだ。

時代が止まっているかのような風景に出会える。
なかなかアクセスが不便なところにあるが、陶芸産地としてのレベルは間違いなく高い。
イチオシである。





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