器の旅 〜波佐見〜


長崎県波佐見町。有田駅からタクシーで10分。
有田とは隣接した地域にあり、ここからバスで15分の三河内と合わせた一帯で、江戸時代から陶磁器が焼かれている。


波佐見町は、日本の陶磁器生産量で第3位の規模を誇る。
国内最大の登り窯が残っており、昭和初期までここで大量の陶磁器が焼かれていたそうだ。



波佐見のキーワードが「大量生産」。有田では高級な磁器が焼かれたのに対して、波佐見は大量生産の路線をとり、江戸時代には庶民の器として人気が出た。

「くわらんか碗」と呼ばれた波佐見の器は、船を往来する中での使い捨ての食器として使われた。


また、「コンプラ瓶」と呼ばれ、海外に輸出する酒や醤油の瓶を江戸後期に焼いていた。
こうした大量生産は、昭和に入っても続き、そこにデザイン性を取り入れたリーズナブルな食器は現在も人気がある。



波佐見は、古くからの窯元が残る中尾山のエリアと、街中のエリアに分かれる。
街でレンタサイクルを借りて、山へ向かって3、4kmほど行くと中尾山。
急な斜面がある街に窯元が点在している。



大きな登り窯からは、割れた器の欠片が出土するという。
最初に中尾山の頂上付近にある中尾山交流館。
ここには、波佐見の全部の窯元の器が売られており、窯元の特徴がよくわかる。
まずはここで良さそうな窯元をチェックしてから周ろうと思ったのだが・・・

お値段は安いのだが、大量生産をキーワードとする波佐見。
ろくろではなく、型を使う器がほとんど。
デザインはまあいいのだが、作家の1点ものを散々見てきた人間からすると、大変申し訳ないが物足りない。ここで購買意欲は消えた。



結局、中尾山のエリアではショップを1軒立ち寄っただけで下山。
街中エリアへ。



波佐見で有名な窯元と言えば、白山陶器。
会社の入り口にも青と白のタイルがあって、オシャレだった。

ここだけ見ればいいかと思って行ったら、ショールームは定休日・・・
お昼時にお弁当を抱えた社員らしき、おじさんが声をかけてくれた。
東京から来たと告げると、青山にもショールームがありますのでと言われた。。。

自転車で街中エリアを少し回って、オシャレなカフェで昼ごはんを食べて撤収。
波佐見を回って感じたことは、見せ方がもったいないということ。
自転車で回っているとところどころに、型を作っている会社や削り専門の会社など、大量生産における分業を担う会社が点在していることに気づく。
こうした特徴的なところは他の陶芸産地にはない部分で、ここを見学ルートとして整備すれば、きっと波佐見焼のまた違った側面が見えてきて面白いに違いない。

観光協会の方にはぜひ、窯業という産業の視点から観光をアピールしてもらいたい。
(言いたい放題言ってすみませぬ)



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