10cmの壁


薄さを均一に粘土を上に上に伸していく。
10cmの壁。
電動ろくろをはじめてから、二度目の壁にぶつかった。
一度目は、同じサイズの器をつくること。
そして、二度目が薄さを均一に高さのある器をつくることだ。

芯がぶれると薄くなった粘土の壁はあっという間にうねり、歪み、そして壊れる。
ぐにゃ。
無残にも粘土はその形を維持できなくなる。

壁が薄くなるにつれて、遠心力によって増幅される力がうねりを呼ぶ。
壊しては作り直しての繰り返し。
力を入れなければ、上に延びず、一向に器はその形をなさない。
力を入れれば、やがて高さとともに歪みが生じてくる。
芯がずれる。
遠心力で形が少しずつ歪みだし、最後にその重みに耐えきれず、その形を失う。

高く、薄く、粘土を引き伸ばすことがこれほど難しいとは。
簡単にスッと薄く粘土を引き伸ばすには、相当の熟練の技が必要のようだ。

先生には、粘土を触る薄さが均一ではないとすぐにわかるようだ。
わからなければ、見た目で判断すればいいという。
しかし、素人目には見た目でも判別がつかない。

もはや薄さも0.1mmの世界だ。
毎日、粘土を触っている陶芸家だからこそ、その薄さもすぐにわかるのだろう。
職人の世界とはすごいものだと実感した。

ろくろ8年とはよく言ったものだ。
まだまだ道のりは遠い。

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