器の旅 〜常滑〜


日本六古窯の1つ、常滑。
名古屋駅から40分。

器を見まくっていたら、ギャラリーの人が色々と産地について教えてくれました。

常滑の歴史は古く、平安時代から窯業が始まる。しかし、地理的に近い瀬戸や美濃と異なり、茶の器作りに参加できなかった。これは、同じ信長の領地でありながら政治的な要因があったと推察されるという。

そのため、茶という権威的な器ではなく、生活用の器を作ってきた。

その結果、常滑は敷居が低く、リベラルな風土が育まれ、様々な陶器が作られるようになった。江戸時代の後期には、大陸の文化を取り入れ、煎茶用の急須作りを始め、大ブレイクする。


その後、明治時代に入り、焼き物の燃料が薪から石炭に移ると、海運の便が良い常滑は、衛生陶器や土管などの産業用途で窯業が栄えた。


常滑にはLIXILの前身INAXの本社がある。
なお、明治時代、同じように海運の便が良く、窯業の産地に近かった北九州で、TOTOが創業している。

余談ついでに、とある住宅設備マニアによれば、TOTOの便器は、今も仕上げを手で磨いており、他社の便器よりも圧倒的に汚れの落ちが良いらしい…。

こういうのも文化、産地の差によるものなのだろうか…


現在、常滑の中心地は観光地化されている。
かつての窯は役割を終えて、器の生産自体は郊外に移ってしまったそうだ。

今はインスタ映えのする散歩道とショップのみが立ち並ぶ街。
なんだか歴史の移り変わりを感じる場所でした。


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