川瀬忍展メモ



青磁の陶芸家、川瀬忍の展覧会。

青磁とは、中国に起源を持ち、土や釉薬に含まれる鉄分が、還元焼成によって淡い青色を発色することで生み出される。
酸素が十分にある状態で焼かれる酸化焼成では、鉄は赤色に発色する。逆に酸素が不足している不安定な状態で焼かれる還元焼成では、青色に発色する。

青色といっても、鉄に銅の釉薬を加えると、翡翠のような青色に。コバルトを加えると、藍色のような深い青色に。素材となる金属次第で様々に色味が変わる。
青磁の青も、土の鉄分の含有量や焼成の状態によって、発色の加減は異なってくる、とても繊細なものだ。そう、陶芸はアートでもあり、サイエンスでもあるのだ。

川瀬さんの創り出す青は、吸い込まれるように深い穏やかな青。
今回、青磁の茶碗が多く出展されていたが、どれも形はシンプルで、色合いや質感によって、表情を変える。



印象に残ったのは、川瀬さんの閃きの原点。
かつて、青磁に魅せられて、中国の宋の時代に皇帝のために焼かれた官窯こそが最高のものだと、古典を学んだ川瀬さん。次第に、宋の時代の前、唐の時代の作品を学び、やがてそれ以前には何があったのかという疑問に辿り着く。そこで得た回答が「自然」だったという。

日常、身の回りにある自然に美を見出し、それを土の可塑性によって表現する。川瀬さんの作品は、花や生物など自然界のものから着想を得て作られるようになる。

創造性とは、探求から生まれる。疑問を持ち、調べ、学び、そして何かと組み合わさった時に、新しい何かが生まれる。


川瀬さんの最新作は、奈良の薬師寺の東塔の基壇土から作られたもの。はるか昔の土を使って、仏教に通じる新たな作品が並んでいた。



六本木一丁目と溜池山王、虎ノ門のちょうど間に位置し、周囲をオフィスビルに囲まれる所にひっそりと佇む美術館。現代陶芸家を中心とした展覧会が行われているとのこと。静かで穴場です。

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