器の旅 〜益子〜


新宿から埼京線で赤羽を経て大宮へ。そこから宇都宮線で小山。水戸線に乗り換えて、下館で降り、真岡鉄道にて益子へ。片道3時間。結構遠い。
電車以外の手段として、秋葉原から「やきものライナー」というバスがあるが、新型コロナの影響で朝の便は休止している。

益子駅で降りる人はほとんどおらず、駅前も閑散としている。陶芸の産地はどこも同じような感じで、陶芸祭のようなイベントがない限り、訪れる人は少ない。




益子駅から徒歩30分。濱田庄司記念益子参考館へ。
濱田庄司が作陶の参考として蒐集した様々なモノが展示してあり、独自の世界をつくりあげるまでのプロセスのようなものを感じられて面白い。






そして、何よりも濱田庄司の大皿が素晴らしい。特に青釉が印象的でした。







益子参考館から、徒歩10分ほど歩いて、starnetへ。
古民家カフェ兼ギャラリーです。
ここのお店は、結構お客さんが来ていました。陶芸マニアというよりは、カフェ好きがやってきそうな雰囲気です。当然、インスタ映えします。





お昼を食べた後は、物欲の旅へ。
事前に調べておいたショップを周ります。

・佳乃や:一番扱っている作品のレベルが高かった。
・つかもと:益子最大のお店。展示されている加守田章二の作品が良かった。
・陶庫:伝統的なスリップウェアなどの作品が主流。
・もえぎ城内坂店:若手作家が多く、作品数も充実していた。
・民芸店ましこ:濱田庄司が命名したお店。濱田窯の作品が買える。





城内坂には、陶芸用品のお店もあって、釉薬や絵の具、土、道具などが売られていた。
しばらく滞在して、陶芸に打ち込みたい気持ちにさせられます・・・





益子陶芸美術館へ。ここには濱田庄司が住んでいた家が移築されています。
濱田庄司を代表とする益子の陶芸家の作品をまとめて見ることができました。





陶芸の産地に来るたびに感じるのが、市場のこと。
おそらく陶芸家の多くは、年に1、2回の陶器市とショップでの販売で食べている。
ショップと言っても、それほど多くは売れないと思われる。
とにかく出展数が多く、観光客に対して、並んでいる作品数が多い。

特に感じるのが、陶芸家の二極化。
売れる陶芸家は現地での取り扱いは少なく、東京のギャラリーなどで売れる。
嗜好品としての器なので、いい値段がつく。

一方で、売れない陶芸家の作品は現地で安い値段で並ぶ。こうした作品は、お土産物のような価値として扱われる。器もIKEAやニトリの器でそこそこの人は満足してしまうので、価格では到底勝負にならない。
組合が運営する共販センターのような場所で作品を並べてもあまり売れないだろう。

こうした市場の構造は、なんとなく農業と似ているように思える。農協が流通として大きなポジションを占めているものの、本当に優れた農家は自分たちで直接販路を持って、高値で農作物を売ったりしている。

年々、縮小していく市場の中で、生き残るには、嗜好品としての器を目指さざるをえず、競争も激しい。 ここにも他のビジネスを参考にしながら、新しい仕組みを取り入れないと、厳しいと思われる。

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